巨大な水

通り過ぎるものすべて

最近見た映画について

短文の感想です。ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 


オールド・ボーイ』(2003)
パク・チャヌク作品は時系列バラバラに見てるが、人生はその中に飛び込んでくる理不尽によって、紙切れのように、抗いようもなく、強烈に左右される、そういう話をずっとやってきたのかな~とぼやっと思った  
そしてどうしようもない理不尽に吹き飛ばされる人々を描きつつも、ヒューマンエラーである女性や子ども、虐げられた人間へ降りかかる理不尽に対しては物凄く強い怒りをもって描いてそうなのが自分が監督の作品を好きな理由でもある

 

『ロブスター』(2015)
オールド・ボーイの後に続けて見たので脳への負荷実験だった この画面覚えてたいな~ってシーンがいくつかあったのと、レア・セドゥが好きすぎるので喋るたびにニッコニコになってた、まあ最悪の支配欲こじらせ正当化人間の役だったけど
山もホテルも対比されているようでいて違った形で社会構造的にも見た目的にも秩序があり、権力はどこにいようが人間が作り出すものですよね~て話をスマートにやりつつ恋愛も絡めてたの、感心した

 

スタンド・バイ・ミー』(1986)
ただ泣ける映画というだけで名作にされてるんだろ……とかなり斜に構えてたけど当然のように素晴らしい作品で態度を後悔した 格差と友情の話をする二人の男の子、その間でだけ交わされた大事な約束、めちゃくちゃホモソの話でもあったので嫌さもありつつ、スタンド・バイ・ミーって言葉通りケアするためには側にいないといけない、側にいるだけで良いって話だったんだ いや本当、普通に感動していた

 

『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)
首輪をつけて、腕にトゲと革の首輪みたいなブレスレットつけてて、それであの上品さを保ち続けられるキアヌ・リーヴスの佇まいの強さ 
ザ・シンプソンズっぽい子供向けアニメをじーっと見つめてから男に抱かれに行くマイクとか、焚火の前で分んないこと全部打ち明けちゃうマイクとか、とにかく子どもみたいに純粋なのに大人にならざるを得なくて、そしてその過程や結末で全部奪われるキャラが好きなんだな自分は フェイホンさんのこと一生忘れられませんし
マイクはいつも突然意識をなくしてその度に死にかけている訳ですが、スコットが最初から最後までずっと、突然眠りに落ちたマイクに対して(記憶確かか分からん)苛立ったり面倒がったりせず、かといって恩着せがましくもなく当然のこととして彼を回収していたの、はちゃめちゃに好きだった マティアス&マキシムも同じこと思ってたしそれを利用してましたね

 

ファイト・クラブ』(1999)
画面の作りかたが2023年の作品みたいで、1999年は嘘では?!だった 洗練も技術もめちゃくちゃ最近の映画を見ている気分だったが……
お話が面白いし画面おしゃれだし俳優陣は最高だったが、人権周りの価値観が終ってたのでまあトントンだった、わざとやってるんだろうな~てとことわざとじゃなさそうなところあったんで
そりゃ妄想の中で理想の自分を作るならルックスはブラピだろうな、分かるよ 色んな暴力シーンがあってハッピーだったが、小首を傾げたりのぞき込んでくるブラピの奥にジョー・ブラックの時のような無垢な神様の表情が浮かんでいてそれがかなり良かった 好みが一貫している

 

『エレファント』(2003)
ずっと静かに、淡々と若者に起こる問題を、怒りを感じさせることすらせずに描いてて上手だったな おそらく犯人だと思われる少年がガンゲームをやってる、みたいなのはこちら側がそうあって欲しいと望むことでもあり、リアリティラインを超えていないことでもあり、塩梅がうまい 犯人は人殺しをゲームだと思う残虐な人間であってほしいなんてお前らの勝手な期待と偏見だろ?という態度もうっすら入ってるのが
最初に死ぬのがキャサリンだとは思わなかったな、彼女もまたアウトサイダーだったのに

 

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)
最高の映画 人生ベスト映画に入れましょうね……

 

『グッド・ウィル・ハンティング』(1997)
かなり良かった スカイラーはこれまで通ってきたフィクションの人間達の中でもかなり上位に入る良い女だったし、チャッキーの台詞は本当にスマートだった

 

リリイ・シュシュのすべて』(2001)
最悪のジェンガが起きているとかそういうのではなくて、肌を直接舐め続けられて目を強制的に見開かされてるようなぬるくて拷問的な最悪さがずっとあって、それを青春に重ねるの、リアリティ
撮りたいもの撮ってんだな~が最終的な感想 暴力がはじまるのもおわるのも瞬きだよ、とかそんなこと分かってんだよ今更言われなくても、と思いもしたが、この映画によって救われるものもあるんだろうな 鉄線に絡まったゴテゴテにキャラのついたストラップと滴る血、はかなり良い画面だった

 

ゴーン・ガール』(2014)
こわ~い女が暴れまくってるけど旦那もしっかりこわい男で良かった 血しぶきシーン、エロティックさとかじゃなくてただただここまでやれるこの女、怖すぎませんか?という演出になってるように感じられて少し信頼

 

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(2023)
ストーリーに整合性とか人との仲が深まる描写に説得力とか欲しいので、水木とゲゲ郎の間にそれあんま無くなかったか?と思ってあんまり乗れなかった 
それはそれとして完全に人外キラーな性格と能力と覚悟をもった水木と、残忍ぶるにはあまりにも善性が強い人外のゲゲ郎、沙代ちゃんが死んだあと本当にほぼ余韻が無く二人だけの戦に赴いたの、結局この二人の間に女も人間も立ち入る隙はありませんでしたを象徴してて怖かった 水木とかいう男、怖すぎ ストーリーに補完したい隙間があるから二次創作が流行るのかな

 

パルプ・フィクション』(1994)
レザボア・ドックスでちょっとタランティーノ作品気になるな……となり、見て、完全にハマった このあといくつか見てハマらないものもあり、結局この監督のどこが好きなのか言語化することになるが、そんなんまだ分かってないので暴力と会話と魅力的な俳優たちと音楽が一体となって完璧を作ってることに大興奮してるだけ 面白かったな……初見では無くなってしまったので二度と同じ経験ができないのが悲しい

 

イングロリアス・バスターズ』(2009)
ベスト映画に入る、ラスト以外は 本当に、彼の監督作品に求めてるもの全部もらってハッピー!となってたけど締め方は刺さらなかったので自分の中の評価がそこまで上がらなかった

 

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)
まあ本当に少しも面白くなくて、ぎりぎり最後の大虐殺でタランティーノ作品に求めている暴力成分が補充できたな……感 シネフィルとしての彼には全く関心がないので面白くなかったのでしょう、昔見たものの繰り返しとか知識によるマウントとか味わいたいなら面白かったのかもしれない 流石に口が悪い

 

『CURE』(1997)
日本映画、どうしても発音の不自然さみたいなのが気になってハマれない部分がどうしても出てくるけど、スワロウテイルとこれはそんなん超えた良さで胸ぐら掴まれてハイ……ありがとう
侮られた人間の屈辱を思い出させるcure、突然フェミニズムっぽいこと始まってびっくりしたしこういう「医療」の話を真面目に、ホラーにのせてやってるの凄いな

 

テルマ&ルイーズ』(1991)
奇跡的にここまで一度も見ずに人生を過ごしてきたが、期待しすぎたせいか割と肩透かしで残念だった 
というか別に全然マジで良い映画なんだが、どんな事情があって、彼女の境遇を鑑みてどんなに許されるべきことだとしても、テルマが心底ルイーズを傷つけるような愚かな失敗をしたことが最後まで許せなくて駄目でしたね ルイーズが許したとしても
ガソリン大爆発大爽快のシーンとか、行って!踏んで!とか本当に心臓をぶっちぎる良さがあったけど、全部テルマの失敗のせいやんけ…がちらついたので というか本当はブラピの誘惑のせいで、となるとオム・ファタールの映画だったんだな

 

ヘイトフル・エイト』(2015)
短期間でタランティーノ作品見すぎてなんかハイになってる感はあったが、レザボアの最終進化みたいな印象 長台詞で掌握される場、一瞬一瞬で移り変わる場の権力関係、銃で殺される人々、血しぶき、予想外の結末、みたいな 満足でした