巨大な水

通り過ぎるものすべて

『JSA』(2000)について

ネタバレを含みます。

 

 

 

 


ーーーーーーーーーー

 

中盤の展開というか、どう考えても真実を明かす方が最悪に突っ込んでいくのにいやに女性が動き続けるのでいや~まあ最後までやってくれるかなと思ったらちゃんとスヒョクが死んでやりやがった……という気持ちになったな~。戦争とか軟禁とか極限状態にある人間にコミカルさが出てくる、というかそうしないとやっていけないところもあるの、『ジョジョ・ラビット』とかもそうだったけど、現実との断絶具合に関してはものすごい厳しさを見せてくるのがパク・チャヌク作品の好きな部分だと再認識した。

 

ストーリー重視で見るタイプではあるけど、正直構図のセンスの良さがあるだけで良い映画!と思いがちなんで今回もヒューマンドラマ寄りすぎないか~と感じてたところに、いくつもの名カットが挟まれてよし!良い映画!!て逆転しましたね。南北の境界線に立つ建物と傘を重ねる所とか、真っ逆さまに落ちる男と目が合うとか……あと単純に正面からの顔のアップが多くてこれをうまく使えるの流石だった。

 

女性(ソフィー?)は真実を明かそうとするという役割を果たしているだけの人間で、普通に見てた分にはこの人何をしてくれてるんですか??最悪すぎる……と思ってたけど、別にソフィーのその役割を正当化したり擁護するような展開が無かったからそうやってハ??枠として消費されることを前提としてたのかな?最後にスヒョクの証言がひっくり返ったのか、ギョンピルの記憶違いなのか分からないがスヒョクを死に追いやる言葉が発せられたシーンはかなり良かった。最後しっかり女性がドミノを自分の手で倒してしまった責任を描いてるっぽかったので。

 

ラストシーンの写真の演出も、ポピュラー映画の終わり方としての最高さと、でもこういう形でしか四人の写真は残らなかったんだなっていう深い悲哀が重ねってておわ~だった。そういうセンスって監督が共同脚本とはいえ、誰を称賛すればいいものなんだろう。まだまだパク・チャヌク作品は残ってるのでどんどん見ていきたい。